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『ほんとうの「食の安全」を考える』読了

科学
03 /18 2010
『ほんとうの「食の安全」を考える ゼロリスクという幻想』
畝山智香子 化学同人 2009

読了。図書館で借りる。

冒頭、1日許容摂取量(ADI)と最大残留基準値(MRL)の関係が全く理解できなかった。最初ビーフジャーキーをガシガシ喰いながら読んでるから頭に入ってこないのかと思い、メモをとり読んでみたのだが全然わからなかった。

結局ネットで検索して、
http://okamoto.agri.kagoshima-u.ac.jp/Vetpub/Dr_Okamoto/health%20management/Basic%20Knowledge/Basic5.htm
理解したのだが、上記URLの内容と本書の内容で食い違うところがあり、どちらが正しいのか。
途中で厳密に読むことを放棄したので、いいのだが、日本ではMRLは国民栄養調査からADIの80%程度の数値になる、と記述しておいて、あとでイギリスの事例を挙げてるところに混乱の原因もあるようなないような、、、

通常ニュースで「基準値を超える農薬が検出されました」というような場合の「基準値」はMRLのことであるが、MRL自身に意味はあまりなく、危険性を考慮する場合はADIあるいは急性参照容量(ARfD)を基準にすることとあるが、じゃあ最初からADIを使えばいいじゃん、とは思った。


本書の主張としては、

農薬や添加物はだいたい安全である。基準値について正確な知識を持てば、過剰に反応することもない。
前述のADIも「毎日一生涯食べ続けて危険な数値」であり、一時的にADIを超えてもまあ心配しなくても良い。(急性は別だろう)
ADI自身もかなり余裕を持って設定されている。

天然・自然だからといって安全ではない。たとえば遺伝子組み換え作物(GE)は検査を行って安全性を確認しているが、GEと同じ原理(遺伝子が変化している)である交配作物などはかならずしも安全性の確認をしていない。
また、ジャガイモなど人体に有害なアルカロイド配糖体が含まれており、死者を含む中毒者が多数出ているが、濃度という観点から見れば農薬などより遙かに濃度が高い。

発がん性について。発がん性とは単純な発がん性の問題を指摘するだけであって条件までは考慮されていない。たとえば「熱いマテ茶」はグループ2A「ヒトに対しておそらく発がん性がある」というカテゴリーだがマテ茶自体に発がん性があるというのではなく、熱いお茶を飲む習慣によりやけどすることによる発がん性の疑いであって、じゃあマテ茶じゃなくて緑茶でも同じやん、となる。
注意すべきは遺伝毒性発がん物質でこれは遺伝子を傷つけて発がんを引き起こすもの。
このリスク評価指数として「暴露マージン」(MOE)があり、1万以上ならほぼ安全。
農薬や添加物はだいたい1万以上あり、1万以下は天然の食品が多い。

リスクの考え方は色々あり一概に言えない。
たとえば有機水銀リスクは魚を食べる量が少ない国では、多い国に対して厳しい基準がある。日本はアメリカヨーロッパと比較して基準が緩い。
マグロなど、有機水銀が比較的多い魚の摂取は注意すべきだが、その際優先順位を決めておくこと。
有機水銀リスクをもっとも考えなくてはいけないのは妊婦である。(水俣)
しかし、魚介類からの有機水銀リスクを恐れるあまり魚介類を摂取しないとなると、こんどは魚介類を採らないことの健康リスクが生じる可能性がある。

諸外国と比べて日本の健康食品の基準は緩い。具体的には特保のこと。
「おなかの調子を良くする」っておなかの何を何がどのような仕組みで具体的にどのように良くするのか、を厳密に定義できないので外国ではほぼはじかれてる。

オーガニック食品は安全性、栄養、味の点でそうではない食品より優れている点はない。
有機栽培のジャガイモと普通のジャガイモを比較すると、有機栽培の法が大きさが二分の一。ということは同じ量をとるには二倍の耕作面積を必要とするわけで、環境負荷が大きいといえる。

結論を言えば、健康な食生活をおくるには、たくさんの種類の食品をたくさんの調理法で食べる、ということにつきる。
あるリスクの高い食品でも、選択肢が多くなれば摂らないでいられる場合があり、
摂ってもたくさんの種類を食べるので一品目あたりの量が減少し、リスクは減る。

ひとつだけ、おまけの豆知識を加えるとしたら、現在の日本で食品添加物や残留農薬が食の安全にとって問題だということを言っている専門家は信頼するに足りません。それ以上その人の書いたものを読んだり話を聞いたりする必要はありません。結局のところこれさえ食べれば(あるいは食べなければ)病気にならないとか長生きできるというような魔法の健康食品や健康法は存在しないし、100パーセント悪いだけの食品もないという平凡でつまらない事実しか残らないのです。



その平凡でつまらない事実では世の中の人は満足しないやろね。
スーパーでアルバイトしてたとき、夕方の4時くらいになったらみのもんたの番組見たおばちゃんがみのもんたの勧めてた「からだにいい」ものを探しに来店してたっけ。。。。

(2010年01月24日)

ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)ほんとうの「食の安全」を考える―ゼロリスクという幻想(DOJIN選書28)
(2009/11/30)
畝山 智香子

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derkomai

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ブログに記録を書きつける時間で余分に本が読めるのでサボリ気味。